原材料調達から製造、廃棄までの全事業活動を通して、CO2 排出量削減や生物多様性の保全に取り組み、環境負荷の低減に努めています。
当社の事業活動のプロセスにおいて、原材料やエネルギー、 水といった地球資源を利用する(インプット)と同時に、CO2や廃棄物などが排出されています(アウトプット)。
当社では、事業活動に伴う環境への影響を正しく把握し、製品の開発から生産、輸送、消費、リサイクルされるまでの全事業活動を通して、限りある地球資源を大切に使用し、環境負荷の低減に取り組んでいます。
2019年度の実績
当社では電力をはじめとしたエネルギー消費の削減や、再生樹脂の活用、廃棄物削減などによりCO2 排出量抑制に取り組んでいます。また国内3工場では、毎年CO2排出量削減目標を定め、全社一丸となってCO2排出量削減のための取り組みを進めています。
工場別のCO2排出量推移※
※東京電力エナジーパートナーのCO2排出係数(調整後)を使用
■省エネルギーへの取り組み
2010年の省エネ法改正により当社は特定事業者、茨城工場は第二種エネルギー管理指定工場※に指定されました。国内3工場では、消費電力の少ない製造設備の調達・切替、製造工程の効率化に取り組んでいます。吉川工場では蒸気配管や替芯乾燥機の改善、茨城工場ではコンプレッサー(空気圧縮機)の運転効率化で、消費電力削減を進めています。また、リアルタイムで電力消費監視を行い、計画値を超過しそうな場合は、使用抑制措置を行っています。
※第二種エネルギー管理指定工場
年度のエネルギー使用量が原油換算で1,500kL以上3,000kL未満の工場・事業所は、「第二種エネルギー管理指定工場」に指定されます。
■水資源使用量の削減
茨城工場では、水の使用量、排水量を継続的に管理しています。製造設備の冷却水の循環利用や節水などの取り組みにより、使用量の削減に努めています。
工場別水使用量推移
■廃棄物の削減とリサイクル
当社ではゼロエミッションを目指し、徹底した無駄の排除による廃棄物の削減とリサイクルの推進に取り組んで います。
茨城工場では2010年度のリサイクル率が99.7%でしたが、埋め立てせざるを得ない廃棄物となる材料を使用しない設計に変更することで、2011年度以降は継続してリサイクル率100%を達成しています。
また、流通段階を終えるとほとんど廃棄される梱包材については、従来のダンボール箱から再生紙の折箱へ切り替えたり、折り畳みコンテナを使用することにより、廃棄物量の削減を進めています。
さらに、お客様が使用する時にゴミとなる製品パッケージは、すべてリサイクル材を使用しており、専用設計を行うことで無駄を省き、使用材料の少量化も進めています。
3工場合計廃棄物量とリサイクル量・率の推移
※2015年度は、排水処理施設トラブルによる汚泥が大量に発生したため、例年に比べ廃棄物総排出量が高い数値となった。
※2017年度は、OEM製品の大量受注により廃油が大量に発生したため、例年に比べ廃棄物総排出量が高い数値となった。
茨城工場内のビオトープを舞うホタル
茨城工場内で羽化したホタル
最終放流槽で元気に泳ぐアユと納涼祭で好評だったアユの塩焼き
事業活動による直接的・間接的な生物多様性への影響を認識し、工場からの排水が生態系に影響を与えていないかどうかを常に把握し、評価しています。
■工場排水によるホタル育成
茨城工場では、1964年の稼働開始以来、工場排水が流入する霞ヶ浦の水環境保全のための工場排水浄化に取り組み、浄化した工場排水による魚類の飼育を続けてきました。2008年、水環境保全の進化を目指して排水浄化設備を更新し、工場内に設置したビオトープにてホタルの育成に取り組みました。2009年からは毎年羽化し、10年連続で初夏の夜空を舞っています。茨城工場の排水が清流に棲むホタルが生息できるまで浄化されたことを証明しています。
■最終放流槽でのアユの飼育
ホタルの育成に引き続き、工場排水の最終放流槽のコケ付着を防止するため、2011年よりアユの飼育にも取り組んでいます。毎年5月上旬頃に稚魚を最終放流槽に放し、8月頃には20cmを超える大きさにまで成長します。
アユが生息できる水質の目安としてBOD※ 平均値が3mg/L 以下という指標がありますが、工場排水は清流と呼べるレベルであることが十分証明できました。また、成長したアユは納涼祭で塩焼きにし、地域の方々に美味しく召し上がっていただいています。
※ :BOD
Biochemical Oxygen Demand(生物化学的酸素要求量)は、微生物が水中の有機物を酸化分解するときに必要な酸素の量で、主に河川の汚濁指標として使用されます。